
・損害賠償請求を防ぐために気をつけるべきことは?
・円滑に退職するためにはどうすべき?
こんなお悩みを解決します!
本記事の内容
・退職代行で損害賠償請求されるのか?
・損害賠償請求に関する疑問点解消
・退職代行による損害賠償請求を防ぐためのポイント
・損害賠償請求を受ける可能性のあるケースとは?
・円滑に退職するには
退職代行の使用を検討する上で、損害賠償請求を受ける可能性について把握しておきたいですよね。
先に結論をいうと、退職代行の使用により損害賠償請求を受ける可能性はほぼありません。
本記事ではその理由と共に、そもそも損害賠償ってなんぞや?という部分まで深堀りして解説します。
本記事を読めば『退職代行使用による損害賠償請求への不安』を解消できますよ!

◆目次◆
退職代行使用で損害賠償請求される?
ここでは退職代行使用による損害賠償請求について4つ順番に解説していきます。
・結論:退職代行による損害賠償請求はほぼ心配ない
・そもそも損害賠償請求とは?
・会社が損害賠償請求をするデメリット
・これまで退職代行で損害賠償請求が発生した事案は?
結論:退職代行による損害賠償請求はほぼ心配ない
繰り返しですが、退職代行の使用により損害賠償請求を受ける可能性はほぼありません。
なぜなら、退職代行の使用自体はなんら法律違反ではないからです。
具体的には下記のように日本国憲法で『職業選択の自由』が規定されています。
「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」
この「職業選択の自由」は、自己の従事する職業を決定する自由を意味しており、これには、自己の選択した職業を遂行する自由、すなわち「営業の自由」も含まれるものと考えられている。
また、労働時基準法では"労働者に意思に反して労働を強制できない"と規定されています。
ただし、どんな退職の仕方やどんな行動をとっても損害賠償請求されないかと言われればそうではなく、例外も存在します。
本記事では損害賠償請求の前提知識から損害賠償請求を防ぐためのポイントまで細かく解説しますので、ぜひ最後まで目を通して下さいね!
そもそも損害賠償とは?
損害賠償とは簡単にいうと、"自らの行為により相手が被った不利益を金銭の支払いで償うこと"です。
損害賠償の発生要因は2つあり、具体例も含めて下記にまとめましたのでご参照下さい。
意味合い | 具体例 | |
債務不履行責任 (※債務=義務のこと) | 加害者と被害者に契約があるなど、加害者が被害者に対して義務を負っている場合に、 加害者がその義務を果たさなかったときは損害に対する金銭を支払う。 | 会社をバックレる、家賃の滞納など |
不法行為責任 | 故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した場合、 生じた損害に対する金銭を支払う。(契約関係がなくても成立する) | 交通事故、暴力、不倫、器物破損など |
参照元:法務省|事件や事故に遭われた方へ(一部抜粋の上、修正) |
労働者は会社と雇用契約(=義務)を結んでます。
なので、退職代行の使用自体が損害賠償請求の対象とならなくても重大な義務違反を犯してしまう場合は対象となる可能性もあります。

会社が損害賠償請求をするデメリット
デメリットは主に手続きが煩雑、逆に慰謝料請求を受けるリスクがあるの2点です。
損害賠償請求をする際の手続きの流れは下記の4stepです。
・損害賠償額の算定(根拠のある金額の算定が必要)
・示談交渉(相手に書類で請求の通知、話し合い)
・調停(示談交渉でダメなら、裁判所で調停委員介入の元、話し合い)
・裁判(最終手段)
…めちゃくちゃ面倒ですよね。ぶっちゃけ退職者1人のために人件費や手続き費用をかけてここまでやるのは現実的ではないでしょう。
そして、会社が不当な損害賠償請求をすれば逆に労働者から慰謝料請求されるリスクもあります。
慰謝料とは"精神的苦痛に対する損害賠償"のことで、損害賠償請求を受けた労働者は当然精神的苦痛を受けます。
会社はこのあたりを総合的に勘案し、損害賠償請求するか判断する必要があります。

これまで退職代行で損害賠償請求が発生した事案は?
結論、これまでに退職代行使用による損害賠償請求の発生事案はありません。
ブラック企業の上司がよく言う『損害賠償請求するぞ!』というのも単なる脅しです。
おそらくそのようなことを平気で言うパワハラ上司は損害賠償請求の手続きすら知らないでしょう。
どうかそんな言葉に惑わされないで下さいね!
退退職代行使用による損害賠償請求を防ぐポイント
ここでは退職代行使用による損害賠償請求を防ぐポイントを4つ順番に解説していきます。
・しっかり引き継ぎを行う
・会社の業績に大きな影響を与える時期の退職は慎重に
・退職代行使用前からの無断欠勤は避ける
・有期雇用の方は雇用期間中の退職代行は避ける
しっかり引き継ぎを行う
しっかり引き継ぎを行うことは、会社に損害を与えずに退職する上で非常に重要といえます。
なぜなら、案件の進捗・受発注状況などあなたしか把握していない情報が多少なりともあるからです。
例えば、あなたが得意先からリピート受注を受けていることを知りながら引き継ぎをせず退職してしまうと、会社は本来得られるはずの売上・利益を失う可能性があります。
このようなケースで損害賠償請求を受けると、前述の「債務不履行責任」が問われ賠償が認められる可能性があります。
なので、手書きでもExcelでもいいので引き継ぎはしっかり行うべきです。

会社の業績に大きな影響を与える時期の退職は慎重に
例えば、あなたがビッグプロジェクトに任命されていて、プロジェクトの大詰めで突然退職すると会社への損害が発生する可能性があります。
加えてあなたが特殊な資格を保有していて、他人が対応できない場合はなおさら問題になるでしょう。
これが何億、何十億単位の大きなプロジェクトであればあるほど当然会社への損害も大きくなります。
このようなタイミングで突然退職するのはリスクがあるので、どうしても退職したくなった場合は一度上司へ担当者交代の依頼をするなどで対応すべきです。

退職代行依頼前からの無断欠勤は避ける
退職代行業者への依頼完了後は任せておけばいいですが、依頼前からの無断欠勤は避けるべきです。
理由は、無断欠勤している間にあなた宛に緊急性の高い案件があり対応できず会社に損害を与える可能性があるからです。
このような場合は会社の業績だけではなく名誉を傷つけることにも繋がるので、名誉棄損で訴えられる可能性もあります。
また、就業規則で一般的に『"2週間以上"の無断欠勤を続けた場合は懲戒解雇にする』と定めている企業も多いです。
このように無断欠勤はリスクが高すぎるのでやめておきましょう!

有期雇用の方は雇用期間中の退職代行は避ける
有期雇用の方については、前提として下記のように法律での規定があります。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
つまり、やむを得ない事情がないのに一方的に退職した場合は損害賠償の責任を負うとされています。
やむを得ない事情とは下記のようなことが挙げられます。
・会社から当初明示された労働条件が事実と相違
・会社の労働基準法違反
・会社の業績不振によるリストラなど
・病気(精神病含む)
・ケガ
・妊娠、出産
・介護 etc...
もう少し深掘りしておくと、下記の通り契約初日から1年経過すれば退職が可能になります。
このように有期雇用の方は注意して下さいね!

会社から損害賠償請求を受ける可能性がある7つのケース
ここまでの内容も踏まえて、会社から損害賠償請求を受ける可能性があるケース下記7つです。
➀会社の機密情報を漏洩した
➁会社に不名誉を与えた
➂会社に損害を与えた
➃同僚を引き抜いた
⑤会社からの貸与品を紛失または破損させた
⑥会社をバックレた
⑦会社の支援を受けて行った研修や留学後すぐに退職した
全て当たり前の内容ですし、これまでの内容からほとんどは納得頂けるかと思います。
一つ補足するとすれば⑦で、これはつまり『労働者が今後自社で活躍することへの投資』と捉えることができます。
投資の財源は会社の利益なワケですから、すぐに退職されれば投資額は回収したいと思うのが普通ですよね。
実際の判例(長谷工コーポレーション事件)がありますので気になる方はコチラをご参照下さい!
弁護士または労働組合運営の退職代行業者で円滑な退職を
これまで退職代行使用による損害賠償請求について解説してきましたが、退職代行業者の選定も極めて重要です。
なぜなら、業者によってサポートできる範囲が異なるからです。
具体的には業者には3種類あり、下記のようにサポート範囲や相場感が異なります。
一般企業運営 | 労働組合運営 | 弁護士運営 | |
サポート範囲 | 退職の申し入れのみ | ・退職の申し入れ ・有給消化、退職金・残業代などの各種交渉(法律事務に該当) | ・退職の申し入れ ・有給消化、退職金・残業代などの各種交渉(法律事務に該当) ・会社から訴訟された際の対応 |
相場感 | 2~3万円前後 | 3万円前後 | 5~7万円前後 + オプション費用 |
一般企業運営業者が有給消化、退職金・残業代などの法律事務を行うと弁護士法違反となります。
仮に業者が逮捕されれば、あなたも事件に巻き込まれる可能性があるので注意して下さい。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
引用元:e-Gov|弁護士法第72条
また、近年の退職代行の浸透とともに会社側も退職代行についての理解も深まっていますので、一般企業運営業者だと退職が滞る可能性があります。
ですので、安全な弁護士または労働組合運営の業者を選定して円滑な退職を目指しましょう!
ぼくが安心安全だとオススメする3社は以下記事をご参照下さい!

総まとめ:退職代行による損害賠償請求はほぼ心配なし!
ここまで『損害賠償の概要』『会社に損害賠償されるケースと防ぐポイント』等をまとめてきました。
本記事の内容をしっかりご理解頂ければ退職代行による損害賠償請求を回避できるはずです。
退職代行使用検討のお役に立てれば幸いです!
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